インタビュー 澁田勝さん 獨協大学図書館

 澁田さんは、大学図書館にお勤めで、ご自身のブログ『 しぶろぐ(努力の上に花が咲く) 』で、図書館に関する記事を執筆されています。そのブログでは、「 図書館総合展、これまでのポスターセッションを振り返る 」や「 Library of the Year(ライブラリーオブザイヤー)2013 候補を考える&まとめ 」等、 図書館総合展運営協力委員 として積極的に情報発信をすることで図書館総合展を盛り上げてくださっています。参加者として、また運営協力委員として、図書館総合展を初めて訪れる人へのアドバイスや魅力についてうかがいました。

獨協大学 澁田勝さん

図書館総合展に参加してよかったことや印象的なできごとをお聞かせください。

 2002年から図書館総合展へは何度か参加していましたが、フォーラム参加が中心で、ブース等を回って積極的に情報収集を行うことはしていませんでした。しかし、 第12回図書館総合展(2010年)のL-1グランプリ2010 への出場をきっかけに、出展社ブースやポスターセッションなど、積極的に見て回り意見交換を行うようになりました。また図書館総合展以外のイベントや交流会にも参加する機会も増え、徐々に顔見知りも増え、人的ネットワークが広がっていきました。
また、ポスターセッションやブースなどは、様々な現場での取り組みや研究内容を知ることができて、とても勉強になります。特にこれだけ多くの企業の説明を聞ける機会はそうありませんし、最近は学生によるポスター出展や参加も多く、実際に説明や話を聞いてみると、その熱意や想いにとても刺激を受けます。他大学の学生と交流できるのも図書館総合展のいいところだと思います。
  MULU(みちのく図書館員連合) というコミュニティーには、2010年のポスターセッションをきっかけに加入の機会を得ました。そのため、その後まもなくして起きた東日本大震災は身近な出来事となり、 saveMLAK などの復興支援活動などに積極的に関わることにつながったと思います。その結果、 図書館総合展フォーラム2012 in 仙台第14回図書館総合展(2012) など、ブース出展やフォーラム開催などMULUのメンバーとして参加させていただきましたし、また新たな組織や人とのつながりができました。みんなでやった 図書館体操 や、第14回図書館総合展主催「 いま話題の図書館を巡るオプショナル・バスツアー 」のガイドを担当させていただいたことも、とてもよい思い出となっています。
 1つのつながりが新たなつながりを生み、知らない知識との出会いが、さらなる学びにつながっていると実感しています。アーカイブズ業界はじめMLA連携(MALUI連携)など業界を越えた横のつながりはもちろんですが、教員、職員、学生など身分の垣根を越え、世代を超えた縦のつながりを作れているのも自分にとって財産となっています。
 特にいまは、SNS(Twitter、Facebook)など、地理的距離を越えた交流、意見交換ができる仕組みもあり、継続的な交流がしやすい時代となりました。つながりがあるからこそ、情報も入ってきますし、意見交換ができます。また面白そうなイベントがあれば、参加してみようというきっかけにもなっています。逆に、図書館総合展は普段SNS上だけのつながりの人と、実際に顔を合わせる機会でもあります。顔が見えた方がよりコミュニケーションが図りやすいですし、いろんな方と出会える図書館総合展に行くのが年々楽しみになってきています。
 L-1グランプリ出場時に掲げたチーム目標、「図書館に限定せず、博物館、美術館、文書館、文学館などの『図書館を取り巻く環境』との新しい交流の場&機会を設け、人的ネットワークの構築・再構築」はいまもズレない関心事であり、今後も実践していきたいと思っています。

 
L-1グランプリ出場時のチーム名プレート  MULUのポスターセッション

もしはじめて図書館総合展に来られる方がいらっしゃったらどのようにアドバイスされますか?

 フォーラムを全部詰めすぎないことでしょうか。フォーラムは1つか2つにして、1コマはブースやポスターセッションをじっくり回る時間をつくることをお勧めしたいです。フォーラム開催時間帯は多くの参加者がフォーラムに参加しているので、逆にいえばブース会場は比較的空いています。ポスターセッションなども人垣を気にせずに見ることができますし、企業ブースもじっくりと落ち着いた状況で説明を聞くことができます。また、ポスターセッションや学協会ブースは、出展者がフォーラムに参加していて留守になっている場合があるので、休憩時間帯に回ると担当者との交流もしやすいです。特にポスターセッションや学協会ブースは現場職員による出展が多いので、現場ならではの相談や意見交換できる機会が多いと思います。
 あとできれば、一人で回らず、2人、3人で回るといろいろな視点で気づきがありますし、意見交換にもつながります。私も経験がありますが、一人で回っていてブース等で一緒に話を聞いているうちになんとなく挨拶を交わし、一緒に回るというパターンもあります。自分から話しかけにくい人は、説明を聞いている集まりにそっと加わって一緒に話を聞くのもいいかもしれません。
 また、図書館総合展のウェブサイトや招待券を参考に、どれに参加するか事前に戦略を練っておくことでしょうか。参加するフォーラムもそうですが、興味あるブースもチェックしておくといいと思います。私自身、帰ってきた後でブースに寄り損ねたり、情報収集しそびれたり、と後悔した経験があります。やみくもにブースを回っていると、正直、時間がどれだけあっても足りませんし、何より体力が持ちません。具体的に、図書館システム、データベース、図書館備品など、自分が調べたい、聞いてみたいテーマを決めてからブースを回ると、網羅的に情報収集ができます。少なくともチェックしたところは必ず寄るようにして、ほかは時間があれば回る、という気持ちぐらいでちょうどよいかもしれません。
 最後に名刺は忘れずに持参しましょう。参加者や企業ブースでの名刺交換が次へのきっかけとなるはずです。最近はフォーラムでもワークショップ形式のものもありますし、展示場内は図書館関係者ばかりです。何がきっかでつながりができるかわかりません。ぜひ交流のきっかけがあれば、積極的に活用してもらえるといいのではないかと思います。

図書館総合展ならではの魅力はなんだと思われますか?

 まず1つ目としてあげられるのは、業界にとって、人、物・情報が一番集まるイベントであることです。全国の図書館員が集まり、交流や情報交換を行うことができ、ブース、ポスターセッションなどを通じて様々な取り組みや研究内容を知ることができます。また、企業ブースでは、実際の商品を触ったり、説明やパンフレットだけではわからない点を聞いたりと、商品やサービスの情報を一度に収集することができる点です。
 2つ目に、たくさんのフォーラムがあり、最新のトピックスを学ぶことができるところです。講師陣もとても充実しています。ただ、参加したいフォーラムが同時間帯で被ったりして、どれに参加するのか選ぶのが悩ましいぐらいです。
 3つ目は、フォーラムの WEBレポートサービス や映像のアーカイブ、Togetter、ブログによる参加記録が多数あり、当日参加ができなくても、開催後に情報が得られる機会がだいぶ増えたことです。正直、3日間ともに参加することはなかなか難しいので、参加できなかったフォーラム等の情報がわかるのは本当にありがたいです。また参加したフォーラム等を含め、職場への報告、情報共有を行う際にも助かっています。

これまで見てきた中で印象に残っているブースはありますか?

 いろいろとブースを見てきましたが、特に印象に残っているブースを3つ紹介したいと思います。

■『 カーリル
 これまでデザインが目立つブースってあまり記憶になかったですが、カーリルブルーの鮮やかなブースの登場はとても印象的でした。カーリルという新しいシステムの登場だけでなく、スタッフの方々のパーソナリティー、デザインの凄さにも驚かされました。カーリルのシールやsaveMLAKとのコラボバッグなど毎年様々なグッズが披露されていますが、去年のカーリルブックトラックは衝撃的でした。購入しようとしましたが、買おうと思った時にはすでに完売でした。

 
カーリルのブース  カーリルブックトラック

■『 アーキビストサポート
 従来の図書館業界中心のブースが多いなか、アーカイブズ業界の団体による出展でした。アーカイブズ関係の資料を多数揃え、積極的にPRしている姿が印象的でした。MLA連携、MALUI連携などに関心のある身としては、こういった関連団体の出展にも今後期待したいところです。


アーキビストサポートのブース

■東日本大震災関連出展ブース
 第14回図書館総合展(2012)では、東日本大震災関連のブースとして、 東北大学附属図書館シャンティ国際ボランティア会みちのく図書館員連合(MULU)saveMLAKプロジェクト宮城県南三陸町図書館宮城県名取市図書館 が出展していました。復興の現状を知るとともに、引き続き支援が必要ということを実感しました。シャンティ国際ボランティア会の「いわてを走る移動図書館車」の展示もインパクトがありました。

 
東北大学附属図書館のブース MULUのポスターセッション

図書館総合展運営協力委員になってみていかがですか?

 ここ数年、L-1グランプリ、ポスターセッション、ブース出展、フォーラム開催、地方開催、バスツアーと、いろいろと参画させていただいたので、少しでも図書館総合展に貢献・恩返しできればと協力委員になりました。いよいよ今年の図書館総合展の開催も間もなくと迫っており、徐々にフォーラム情報なども公表されつつあります。自分自身が参加したいと思う企画なども多く、いよいよ準備も大詰めとなっていますので、公開された情報についてはブログやSNSを使って、どんどん広報に協力できればと思っています。
 また、図書館総合展の運営自体、企業の協賛と出展があってのことですので、今後の図書館総合展の活性化を願うなら、企業ブースにもっと参加者が訪問する仕組みができたらと思う部分もあります。これはうまくやれば参加者側もメリットがあることなので、両者をうまい具合にマッチングさせることが大事だと思います。そういう意味では、昨年、JADS(アート・ドキュメンテーション学会)がイベントとして、アーカイブズに関連するブースを巡るツアーというのを実施しており、非常にいいアイデアだと思いました。
 また同様に参加者同士のコミュニケーションを図る仕組みがもっとできればと思うところです。先の例のように、テーマごとにブース見学ツアーを実施して一緒に回る機会を設けるのも1つの方法かもしれません。また図書館総合展会場ではお昼に悩むことが多いので、ランチ会の交流会などあれば需要があるかもしれませんね。
 また地方でなかなか横浜まで来られない人も多いと思うので、USTREAM中継を活用して地方でパブリックビューイングを開催し、研修や交流の機会にするというのも考えられると思います。そういう意味でも図書館総合展の地方開催は地方のネットワークづくりにもなっており、今後の発展が期待されるところです。
 図書館総合展運営協力委員として初めて迎える図書館総合展ですが、今後の図書館業界、図書館総合展の発展のために少しでもお役にたてればと思いますし、自分自身も楽しめるように事前にしっかり戦略を練って参加したいと思います。

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