インタビュー 佐藤潔・図書館総合展運営委員会委員長

今秋、第15回を迎える図書館総合展について、佐藤潔・図書館総合展運営委員会委員長にお聞きしました。

 佐藤潔運営委員会委員長

図書館総合展の運営方針をお聞かせください。

 図書館に関する日本で最大のイベントとして、図書館界への問題提起と解決に向けた議論の場を提供し続けてきた、と自負しています。3.11の東日本大震災以降は、図書館だけでなく、大学や企業が連携する動きを重点的に取り上げています。これはMLA連携やMALUI連携というもので、MはMuseum(博物館・美術館)、AはArchives(公文書館)、LはLibrary(図書館)、UはUniversity(大学)、IはIndustry(産業)を差しています。また、出版や教育のデジタル化は、毎年続けて注目せざるをえない課題です。
 そして、政治家や地方自治体首長のフォーラムへの招聘があります。第13回は片山善博総務大臣(当時)にご登壇いただきました。鳥取県知事だった頃から、図書館へのご理解が深く、後に「住民生活に光をそそぐ交付金」という形で図書館予算拡充の政策を打ち出されました。
 第14回では、佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長をお呼びしました。カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が、図書館業界に初めて参入するなど、議論かまびすしいなかのフォーラムでしたが、終了後の大きな拍手は、我々にも予想外で驚きでした。言うまでもなく、図書館と政治・行政との間には、緊張した関係があるものです。図書館総合展は、いずれをも拒まず、偏らず、オープンに可能性を示していくことが使命であると考えています。
 出展者だけでなく、来場者の皆さんについても、図書館関係者だけでなく、教育・行政・情報・マスコミ・出版・学生さん等々、より広くお声かけし、新しい出会いと気づきを得ていただきたいと考えております。

 
                     津田大介氏フォーラムの様子

第15回に向けて意気込みなどお聞かせください。

 昨年の第14回は、入場者、出展者数、フォーラム開催数、ポスターセッション展示数など、いずれをとっても過去最高の数を記録いたしました。あらゆる場面で予算縮減傾向である時勢のなか、これは運営委員会としてありがたく、また図書館界全体にとっても喜ばしいことではないかと感じております。開催後のアンケートを見ましても、図書館の今後に希望や可能性を感じているという主旨のものが多くございました。
従来とは図書館の役割が変わってきております。出版物を含めた情報流通全体がデジタル化の大波の中にあります。その中にある図書館は、<沈みゆく船>なのではなく<情報の海を照らす灯台>なのではないでしょうか。少なくとも、図書館総合展で示される多くの展示・フォーラムはそう思わせるに足る、充実した内容を持ちます。
 そうした期待に応えるべく、地域、大学、学校教育、博物館、美術館、公文書館、企業までを巻き込みつつ、ここに来れば、情報の世界全体の動きがわかる、といったものにしてゆきたいのです。大学の講義が聞けたり、企業がプレゼンテーションをしたり、図書館や書店そのものが会場で開かれたり、「あそこへ行けばなんでも吸収できるし面白い」と思えるような場所にしていきたいと考えております。

  
   南三陸町図書館、名取市図書館の様子               ブース出展の様子

さらに今年の見どころがあればお聞かせください。

 特に注目していただきたいのは、多くの出版社の参加です。出版社の方々が実感しておられると思いますが、図書館と出版業との間には何かしらの緊張が漂います。傍からみれば「図書館も出版社も書店も親戚みたいなもの」に見えているかもしれませんが(笑)。
 現実に、この図書館総合展においても、これまで出版社からの出展というのはそれほど多いものではありませんでした。
 ところが、昨年の第14回からは流れが変わって参りました。一つには「図書館へのおすすめ本」という企画です。図書館の選書担当者に対して、こういう本を買ったらいいですよ、というのを出版社から提案してもらうものです。図書館をマーケットとして強く意識する一部の出版社以外は、あまり働きかけをしてこなかったこうした<おすすめ>を、様々な出版社がやり始めているのです(運営委員会では、この動きが“直接売上げ”に結びつくよう、選書担当者への専用注文書として作成しています)。
 他にも、出版界の重鎮の方々にフォーラムへご登壇いただくよう、働きかけをしております。こうした動きは、「出版社が窮して、マーケット拡大のため図書館市場にまで手を拡げてきたか」とみるより、「情報流通のあり方が大きく変わりゆくなか、書物をめぐっても新しく大きな“化学変化”が起こりつつあるのだ」ととらえていただければと思います。

MLA、MALUI連携を扱った第14回図書館総合展フォーラム

  • 2012年11月20日(火)13:00-14:30『触発する図書館』-高知(県+市)図書館と千葉大学アカデミック・リンク…公共と大学の挑戦 http://2012.libraryfair.jp/node/826
  • 2012年11月20日(火)10:30-12:00グレートブックス・ライブラリカフェ:新しい図書館の運営モデル -農・食・祭り、地域自立に向けた新しい晴耕雨読のライフスタイルづくりへ スマートシティの取り組み http://2012.libraryfair.jp/node/844
  • 2012年11月21日(水)10:30-12:00東日本大震災:震災対応に関する疑問・質問にMULUが全力でお答えします!-体験と対策の共有をはかるために http://2012.libraryfair.jp/node/882

大臣や首長を招聘した第14回図書館総合展フォーラム

ご本人写真は、ご本人とJcross図書館と図書館にかかわる人たちのサイト( http://www.jcross.com/ )よりご許可いただき掲載しています。



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